スズメのさえずりについて
今回はスズメについてお話ししたいと思います。スズメがチュンチュンと鳴いて小さな体であちこちと飛び回っている姿を見るのが大好きです。家のベランダの物干し竿の上に止まってちょんちょんちょんと右に左に移動する姿をボーッと見つめることが時折あります。そんなことをするのは私だけでしょうか!?
スズメと聞いて思い出す昔話があります。小鳥の姉妹がいて…その姉妹の親鳥が重い病気にかかり、余命幾ばくかという状態になってしまいました。お姉さんのキツツキは「お母さんのところに行くのに作りかけ着物をきれいに仕上げてから出かけるから!こんな格好ではいけない。」と言ってそのまま時間をかけて着物を染めて作り終えてから着替えて…出発するのが遅れました。一方、妹のスズメは「これは大変。生きてる間にお母さんに一目でも会いたい。」と言って作りかけで染めることもできず慌てて出発。雨が降りしきる中慌ててお母さんの元へ飛んで行きます。途中で雨が激しくなり雨宿りをしたり、途中で疲れて雨宿りする場所もなく泥はねのする場所で少し羽を休めたりして体がドロドロになってしまいます。なんとかお母さんがこの世にいる間に会えて言葉を交わすことができました。お母さんが息を引き取った後、綺麗な着物姿で訪れたキツツキのお姉さんはとても後悔したということを思い出します。

この出来事の一部始終を見ていた神様が、キツツキにはきれいな服をずっと着続けることを許すけど…木をつついて虫だけを食べるようにと決めてしまいました。妹のスズメには、「よく頑張ったね。綺麗な服をあげることはできないけど、何でも好きなものを好きなだけ食べられるようにしてあげようね。」と言ったという話を思い出します。
スズメは昔から稲を食べ散らかす害のある鳥と考えられてきたと言われます。ずっと昔、中国の話で害鳥と考えられていたスズメをお米を守るために大量に駆除したことがあったそうです。その翌年スズメが餌として食べてくれていたバッタなどの虫に稲がやられて大凶作になったということがあったそうです。稲を食べる悪さをすることはそれほどではなく、スズメは雑草の種を食べてくれたり、害虫を食べてくれる役に立つ鳥…益鳥であると分かっています。
このスズメは寒い時期になると槇囲いなどの生垣から飛び出てくることがあるのですが、その槇囲いの中で体を寄せ合って温まっていると言われています。とっても可愛いスズメなので捕まえて鳥籠で飼いたいと思う気持ちもわかるのですが…自然の鳥を保護する法律で禁止されています。自然の中で楽しく強く、お母さん思いのスズメを自由に飛ばしてあげる方がきっと良いと思います。この野生のスズメの平均寿命はなんと1年少々しかないそうです。一生懸命あちこち飛び回り、チョンチョンと屋根の上を走り、餌をついばんでいる姿は愛らしいのですが、1年少ししか生きられないのだと思うと…その一生懸命な姿がいっそう愛おしく感じられます。

私は鳥の滑空を見るのが好きで、カモメとか鳶、鷲という大型の鳥を見ることも多いのですが、一生懸命小さな羽を羽ばたかせ、体は人差し指と中指を合わせたくらいの太さしかない、そんな小さな体のスズメの姿を見ることで癒されます。皆さんも忙しい毎日と思いますが、少し体を休めて雀の姿に心を和ませてみませんか?