ナスレッディン・ホジャ物語―トルコの知恵ばなしについて
今回はトルコの小話、笑い話、神話の内容についてお話ししたいと思います。
この「ナスレッディン・ホジャ」という人が登場する知恵話で…ばかばかしい内容なのですが、その中にはムムっとうなるような真実が紛れ込んでいるので、思わず自分はどうかな?と思うような話があります。Web上で調べられるとすぐ出てくるのですが…「トルコ、ホジャ」と検索窓に入れるといくつかの物語が出てくるはずです。その中にこのホジャさんが色々と活動していて…大事な指輪を家の中でなくしたというくだりの話があります。
ホジャさん…一生懸命に家の中の思い当たる場所をあちこちと探したのですが、結局は見つからず、途方に暮れてしまいます。その時にホジャさんは何を考えての行動なのか疑問が残るのですが…外へ出て自宅の周辺をウロウロとしだして、足元を見たり、物を動かしたりして動き回ったのだそうです。それを通り、かかりの人や近所の人がホジャさんは何をしてるんだろう?と不思議がって見ていたのですが、その中のある人が「おじさん、何をしているの?」ホジャさんは「家の中で指輪をなくしてね。」「じゃあ、お家の中でなくしたんやったら、なんで家の周りで探しているの?家の中を探さないといかんやろ!」と声をかけました。

すると、ホジャさんはちょっと胸を張ってこんな答えをしたそうです。「家の中は暗くて見つけられない。だからここで探そうと思ってね。明るくてよく見えるから探すのが楽と思って…。」との返答。でも、いくら明るくてよく見えても、無くしてしまった指輪は決して見つかりません。検討違いな場所を一生懸命探しているので、見つかることは絶対にないのです。
しかし、そのことにホジャさんは気づいているけど行動を変えられない!きっと探すということが目的になってしまって、指輪を見つけるということはどこかにいってしまったということなのだと感じます。笑い話ですね。
これはとてもバカバカしい愚かな行為に見えるのですが、この物語を読んだ時にフッと自分はどうだろうか?本質からずれて、これをしなければならないということの周りのことばかりしてないだろうか?この書類を作らないといけないのに鉛筆を削ってみたり、紙を用意をしてみたり、ラジオを聞いたり、体操をしてみたり、グズグズグズグズ…。

ナスレッディン・ホジャ物語―トルコの知恵ばなし (東洋文庫 (38))
家の中を探さずに家の周りをウロウロしだすということになりやすい!家の中を探さずに家の周りを回っているようなことをしていないかな?と反省することを仕切りになります。自分のことはちょっと横に置いて、世界でも色々なことが起こっています。喧嘩もあるし、陰口も嫉妬も…悪口が渦巻いています。でも、それらは本質的なことではないように思います。しっかりと事の本質を見極めて、我が本道を行くということは実はなかなかできないかもしれないのですが、少々遠回りをしてもしっかりと王道を歩いて行かなくてはならないなぁ!と感じます。この「ナスレッディン・ホジャ」の物語を聞き感じた次第です。