微量元素の亜鉛と人の体について

2021-12-19

今回は微量元素の亜鉛と人の体についてのお話です。亜鉛ってどういう風に働くのかなと思われる方も多いかと思います。思い寄らぬ病気にかかり、ベットで長い時間横になって過ごさなくてはならない状況になってしまった時に、皮膚の状態が思わしくなくて褥瘡(床ずれ)ができたおじいちゃん、おばあちゃんに亜鉛が欠乏しているということがあります。この亜鉛は普通に食事をされていれば他の微量元素と同じく不足することはほとんどないのですが…。

亜鉛はたんぱく質の合成や免疫系に関与している重要な栄養素で、この亜鉛が欠乏すると皮膚の形成と細胞の増殖に影響を及ぼして、傷口の治癒が遅れると言われています。また抗酸化作用もあって、活性酸素の処理にも関係しています。欠乏症が重症化すると好中球や白血球の機能に影響が出て免疫能力がかなり低下してしまいます。

寒さが徐々に厳しくなってきました。インフルエンザやウイルス性の胃腸炎などで体調を崩しやすくなってくるので注意が必要です。細菌やウイルスへの抵抗力を高めるためには、夜しっかり寝ることやバランスの良い食事が欠かせないですし、亜鉛も重要なミネラルのひとつと意識したいですね。

遺伝子に働きかけタンパク質合成を促し細胞再生を担います。肝臓や脾臓などで新しい細胞を作ることを助けるのが亜鉛です。また免疫力を上げたり、加えて亜鉛が少なくなると食べ物の味をしっかり感じられなくなって、食べ物が美味しくなくなってしまうと言われています。

この味についてなのですが…舌にある味蕾、この部分は色々な味をキャッチする重要器官で、私たちは「これは塩辛い」とか「甘い」という感じをこの部分で受け取るのですが、亜鉛がこの味蕾の中の細胞に重要な働きをしています。味細胞と言われる細胞は短時間で細胞が次々と生まれ変わっていくので、その材料となる亜鉛がかなりの量必要だと言われています。亜鉛を十分に食べ物から摂取することで、この味蕾を守ってくれます。

更に美味しさを保ってくれるのも亜鉛の働きのひとつです。髪の毛や素肌の健康維持にはなくてはならないミネラルで皮膚も髪もタンパク質からできているので亜鉛を摂ることで、タンパク質の代謝を促してくれて、トラブルを改善してくれます。

また男性の前立腺や精子に亜鉛は多く存在しています。精子の形成には必ず必要とされるミネラルで、生殖機能の改善にも一役買っていると言われています。

心の状態をコントロールしてくれる記憶力を保つには神経伝達物質が正常に作られて働いてくれなければならないのですが…うつ状態になると脳機能が低下して神経細胞の刺激伝達が円滑に効かなくなることが原因と考えられています。この大切な神経伝達物質を作るために必要なのが亜鉛です。亜鉛が体の中に十分あると精神的な安定や脳機能高めてくれて、うつ状態の緩和に効果があると考えられてもいます。

体をしっかり動かして風邪を予防したいところですが、体をしっかり動かす人ほど亜鉛が必要で、汗の中に多く含まれている物質なので、汗を流すほど体外へ流れ出てしまうので、運動をしっかりする人ほど、汗をたくさんかく人ほどしっかり亜鉛を食べ物から摂取する必要があります。

亜鉛を多く含む食材で有名なのが…これからの時期おいしくなる牡蠣。他にはワカメや海苔、豚のレバー、切り干し大根などにも含まれています。日本人の食卓にはこれらの食材は普通によく並ぶものなので結構、気軽に摂取できるのでありがたいことです。

亜鉛を取るだけではなくて、効率よく体内に吸収するためには玄米、にんにく、唐辛子等に含まれているビタミン B6の摂取が必要になってきます。これらの食材も積極的に摂っていただき、亜鉛吸収を高めて下さい。亜鉛をしっかりとってこれからの季節、免疫力をしっかり高めていきませんか?